じぇにじぇ日記

日々徒然なるままのあれやこれや。

六月の庭にため息した記録

f:id:ojenichan:20180622202935j:plain


誕生日にもらった鉢植えの紫陽花が
ほんの数年で大きな株になった。


もらったときは綺麗な空色の紫陽花だったのが
今は薄い青から青、群青いろへ。
不思議なことに同じ株に薄いピンク、紫、赤紫も。
大小さまざまな花の玉は
日を追う毎にその色を深めていく。

毎日変わる色が楽しみ。


豊かな枝
たくさんの毬のような花
滲んだようなグラデーション


わが家の部屋にはもちろん切り花にして飾り
たくさんの花瓶で食卓は花屋のようになり
他にも いくつも いくつも大きな花束をつくり
人にあげた。
それでも株はすこしも見劣りすることなく
薄紫の宝石を無尽蔵に生み出しているようだった。立派な枝を誇っていた。


カラカラの日には少し辛そうに
眩しい光に立ち

待ちわびた雨の日には
文字通り花も葉も輝いて
安堵の中に立っていた。

しっとりと雨の中に立つ。
花びらに雨のつゆをたたえる。
それが神がもともと紫陽花のために
決めたことであるのは間違いない。


雨上がりにカメラのシャッターを切る。
麗しい姿のどこを切り取り
小さい四角形にどう収めようかと
贅沢に悩みながら
しかしどこを捉えても大抵神々しく青い絵になる。


水無月の庭 紫に染めあげし
玉に魅せらるシャッターの音」

「紫陽花の水彩滲む朝の雨
神の絵筆に失敗はなく」


六月はまるまる紫陽花の紫に染まった感がある。
飽きることなく
毎朝紫陽花の写真を撮った。


感嘆のため息をつきながら眺めた色彩のパワーが
萎えてしまうのは忍びなく
現象ショップに行って50枚もの写真を作り
一冊のアルバムに収めた。

紫陽花教の熱心な信者が作った
経典のようなこの一冊を
四六時中眺めて
毎回同じような称賛の言葉を漏らしている。


「六月に生まれし我は紫陽花の
寄り合う花の濃淡に酔う」

水無月を神の指図で紫に
染める手鞠は君くれし花」


もともとは夫がくれた一鉢の紫陽花
今や小学生の背丈よりも大きくなった紫陽花
私にとっては特別の意味のある花。


少し尋常ではない勢いで
この紫陽花に心を奪われている2018年の梅雨


実際アルバムにしたほどたくさんいい写真はあるが
添付の写真は 敢えて
賑やかな枝のしたの方で
人知れず咲いている小さな一輪
こんな一輪にも透き通る輝きがある。


この年の梅雨を
忘れがたいものにしてくれた庭の形見として
この一輪をここに貼っておこう。


f:id:ojenichan:20180622202843j:plain