じぇにじぇ日記

日々徒然なるままのあれやこれや。

「悲しき慕情」の景色

カーペンターズの「悲しき慕情 Breaking Up Is Hard To Do」

https://youtu.be/wpulStzGv4A

この曲は失恋の曲なのに調子はけして暗くない。

「行かないで。別れるのはツライわ。できたらもう一度やり直したいわ」という未練がましい内容を軽快なリズムで歌う。

私は実際若いとき、恋愛関係が終わるときに、しばらく心の腰が抜けてしまって(心に腰があるとしたらだが)立ち上がれず動けない時間を、この曲を何度も聴きながらやり過ごした。

なんでこんなに明るいメロディで歌うんだろうとボンヤリ考えていた。

悲しいとき、わざと悲しい曲を聞いて、ぐっと徹底的に悲しくなって、どっぷり悲しみに浸り、味わい尽くして悲しみを昇華するという手もある。
中島みゆきなんかがいいんだろうか。

でもカーペンターズのこの曲のように悲しい内容を敢えて軽快に歌う。それも、失恋のショックの唖然とした中にあって現実を見据える準備を始めるまでの、止まったような時間の隙間を埋めてくれる。

若いとき。もう世界が終わったかのように立てなかった「失恋」の瞬間。数日間。

でもそのあともまた性懲りもなく恋愛し
やっぱりまた失恋し
カーペンターズ中島みゆきのお世話になった。

「失恋」かぁ。
もうあんなドラマチックな心の動きは
勘弁してほしいなと思う。
気持ちがバスケットボールみたいに
高いところからボーンと落ちる。
その衝撃は相当のものだ。
かなり痛い。疲れる。
あんなことはもう嫌だ。

今はもう安全なところにいて
遠い日の「悲しき慕情」を
懐かしく思い出すおばさんになってしまった。

いや、安全かどうかは確かではない。
状況に翻弄されるバスケットボールにならないように用心深く振る舞っているだけだ。

「悲しき慕情」は好きな歌だけど
もう若いときのように
気持ちを重ねては聴きたくない。

失恋はいくつになっても切ない。
あるものがなくなる。喪失感。
それは想像するだに
哀しい。

ぽっかり空いた穴は
埋まるのか。
埋めるのか。
埋めなくてもいいのか。

歳を経ることでわかることはたくさんある。
でもこのことは
やってみないとわからないジャンルのことなので
ぼんやりと想像して
怖くなって戻ってくる。
考えないでおこう。

できれば死ぬまで考えないでいれたらいいなと
思いつつ
口をついて出てきた
「悲しき慕情」をYouTubeで拾って
改めて聴く。
若いときの恋愛が切ないと言うよりはむしろ
懐かしいものとして甦ってきた。

しかし
聞きようによっては
この歌はまだやり直おせる余地はある歌だ。

私は失恋を乗りきるために聴いたけど
ほんとうに二人に再出発の可能性もあるのかもしれない。

いずれにせよ
実際に生活と重ねては
もう聴きたくない。

いろんなことの浮かぶ懐かしい曲。

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